プロ翻訳者のツール利用状況レポート
プロ翻訳者が翻訳作業に使用するソフトウェア利用率ランキング
(データソース:翻訳者ディレクトリ 調査方法:プログラムによる自動集計方式)
調査対象4888人 調査日時2023年03月23日03時05分 | ||||
1位 | Word(Office) | 3052人 | 62.4% | Office |
2位 | PowerPoint | 970人 | 19.8% | Office |
3位 | TRADOS | 833人 | 17% | TM |
4位 | Phrase | 249人 | 5% | TM ※=Memsource |
5位 | PhotoShop | 228人 | 4.6% | Creative |
6位 | MemoQ | 173人 | 3.5% | TM |
7位 | WordFast | 95人 | 1.9% | TM |
8位 | SST G1 | 91人 | 1.8% | Subtitle |
9位 | SDLX | 57人 | 1.1% | TM |
10位 | PageMaker | 49人 | 1% | DTP |
11位 | OmegaT | 45人 | 0.9% | TM ※オープンソース |
12位 | FrameMaker | 43人 | 0.8% | DTP |
13位 | Transit | 36人 | 0.7% | TM |
14位 | Idiom WorldServer | 36人 | 0.7% | TM+GMS |
15位 | XBench | 32人 | 0.6% | QA 校正ツール |
16位 | 秀丸エディタ | 31人 | 0.6% | Editor |
17位 | Passolo | 31人 | 0.6% | ― |
18位 | Translation Workspace | 30人 | 0.6% | TM |
19位 | Catalyst | 21人 | 0.4% | ― |
20位 | TraTool | 15人 | 0.3% | TM |
21位 | IBM TM/2 | 14人 | 0.2% | TM |
22位 | ATLAS | 11人 | 0.2% | MT+TM |
23位 | MED-Transer | 8人 | 0.1% | MT+TM |
24位 | PC-Transer | 7人 | 0.1% | MT+TM |
25位 | Dejavu | 5人 | 0.1% | TM |
解説 プロの間では、いわゆる翻訳ソフト(機械翻訳(Machine Translation=MT))はあまり使われていません。訳文をデータベース化してリサイクルするという発想の翻訳メモリ(Translaton Memory=TM)の普及が進んでいます。翻訳ソフトの中にはプロ用と謡い、翻訳メモリ機能を組み込んだ製品(MT+TM)もあります。
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完成度の高い訳文を追求する翻訳のプロには好まれない翻訳ソフト(MT)ですが、「大意を把握する」「用語の辞書引きを自動化する」といった用途には、一定の効果が期待できます。一般の方が翻訳ソフトを購入するときは、人気があってよく売れている製品を選択するというのも、ひとつの方法です。
⇒市販の翻訳ソフト一覧
翻訳ソフトを購入して、ただちに良好な翻訳結果を得られるということは、まずありません。自分がよく利用する題材や専門分野に合わせて、ユーザー辞書を整備するなど、翻訳ソフトの環境を最適化していく手続きが必要です。つまり、期待どおりの結果を得るためには、ある程度の使いこなしや熟練が必要になります。特定の専門分野で翻訳ソフトを使用する場合は、オプションで専門分野別辞書が用意されているかどうかを選択の基準にすることもできるでしょう。
また、特定の専門分野に特化した翻訳ソフトも発売されています。あらかじめ用途や目的がはっきりしている場合は、専門分野に最適化されたソフトを選択すれば、別途、専門分野辞書を購入する必要がなく、ユーザー辞書をゼロから構築していく手間を省けます。医学翻訳ソフト、特許翻訳ソフト
、技術翻訳ソフト
などが市販されています。
組織内で長期にわたり複数の担当者が翻訳ソフトを利用するという使い方をする場合は、UTX(Universal Terminology eXchange)または UPF (Universal PlatForm)といったユーザー辞書の標準仕様に対応している翻訳ソフトを選択すると良いでしょう。将来、技術の進歩に合わせて翻訳ソフトを買い替えることになった場合でも、それまで蓄積したユーザー辞書の資産を無駄にすることなく、引き続き利用して発展させていくことができます。
自動翻訳(=機械翻訳 MT)の現状は、インド・ヨーロッパ語族ロマンス語系諸言語(フランス語、スペイン語、イタリア語)間は、比較的精度が高く、英語とロマンス語系言語・ゲルマン語系言語については、post edit(後編集)が不要で実用レベルだと言われています。
文法構造に類似の多い日本語と韓国語間でも、比較的良好な結果が得られるようです。
欧州・アジアを問わず、英語が国際ビジネスの標準語であるため、日本国内では、英語と日本語間の翻訳需要が大半ですが、中国市場でのビジネスチャンス拡大を反映して、中国翻訳ソフトも数多くの製品が市販されています。
翻訳ソフト(MT)で出力した訳文を、プロの翻訳者に校正してもらえば、安くて質の良い翻訳ができるのではないかと考える人もいます。これは、非常に嫌われる行為になるのでやめておきましょう。たいていは断られます。一見、合理的な方法に思えるかもしれませんが、機械が出力した不自然な文章を目にするだけでも、プロの文筆家(翻訳者を含む)には多大な苦痛を伴うものなのです。例えていうと、でたらめにデザインしたひどい洋服をプロのファッションデザイナーのところに持ち込んで、「これを直して一流のデザインの服にして」と依頼するようなものです。「二流でもいいから、お値打ちな料金で、とりあえず着られる服にして」などと言ったら、決して良くは思われないでしょう。
現在の翻訳業界で、翻訳ソフト(MT)が有用だと主張しているのは極めて少数派です。これは、過去に機械翻訳ブームが起こった(当初は業界をあげて騒いでいたが、2年程度で結局実用にならないことがわかり急速に衰退)ときの反動で、翻訳業界では翻訳ソフトへの関心が低いのではないかという説もあります。
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